僕が「寄り道」を作った理由

※この投稿は「2021年12月19日」に書かれたものです。
僕は元々、そんなに一つのことに
真っ直ぐ、コツコツと頑張り続けられるような性格ではない。

学生の時も
社会人になってからも
一つのことを頑張り続けることができない。

頑張れたとしても1年。
どんなにのめり込んだとしても、長くて2年。
良くあるパターンは、途中で燃え尽きたり、
ルーティンを決めたのに守れない自分に
自己嫌悪になって、だいたいの物事が終わりを迎える。

高校時代は陸上競技で人生で初めてのめり込む経験をしたが
高3の最後の大会で400mの胸の差30cm
時間にして0.14秒差で負けたことがきっかけで
一気に自分の中が空っぽになって燃え尽きた。

結果、それを引きずって2年間
浪人生という仮面を被って自宅に引きこもった。

継続できない自分。
継続しても一回負けると燃え尽きてしまう自分。

そんな自分が本当に大嫌いだった。


2年間の引きこもりの末
大学に入学、卒業して会社員になったが
目標設定をしても
時間管理をしても
夢やなりたい姿をいくら描いても
蓋を開ければ「頑張れない自分」がそこにはいる。

高校生時代の負けの体験は
会社員になっても強く印象に残っていた。

だから最初は、
頑張ると良い悪いも全て結果として出てしまう。
その恐れから逃げているのだと思っていた。

継続できる人は本当に強い。
ましてや僕の周りにはモノづくりを生業にしている人が多い。
いわゆる職人というやつだ。
だから、そんな職人達は
自分の業界が、作っているモノが大好きで、それで継続出来る人が多い世界だから
みんな本当に強いし、何よりキラキラしていて眩しかった。

本音を言えば、僕もそっちの住人になりたかった。
でも、30歳を前にして、憧れる気持ちの反面
僕がそっち側の住人ではないことが肌身を感じてわかってきた。

僕はどうやら何か一つの事を継続して深めていくよりも
たくさんの物事を同時進行的に眺めて共通項を見つけて
深めて、誰かに伝えていくような、そんな世界の住人だったみたいだ。

もっと感覚的に言うならば、
分野や業界に関係な、一つのことを深めるわけではなく
どんなに不明確でも”そこに何かがある”と感じると
もっと知りたくなってしまう
もっと追ってみたくなってしまう
そういう性格なようなのだ。

思い返せば、思い当たる節はある。
確かに仕事をする上では、技術的にも
決まった仕様にはめていく仕事が一番効率が良いのだが、
でも僕は、お客さんと話していく内に
決まった仕様で作るということに
ものすごい苦しさを感じてしまい
全く違う手段、仕様にしたくなってしまうのだ。

テルは素直じゃないと言われたこともあったし
お客さんのことを考えてない、
人の話を聞かないとも言われたこともある。

でも、その先の”何か”が気になってしまい
逆に、それを追えなくなってしまった瞬間
一気にすべてに興味が消え失せてしまう。

本当に僕は顕著にパフォーマンスを落とす。
いや、もはや顕著どころではない。
あからさまにパフォーマンスが落ち、態度に出てしまう。

会社が嫌いだったわけでもない。
すごく大切に育ててもらったと思っている。

でも、この性格ではここにはいられない。
そう思って独立させて頂くことにした。


そんなお金もないし、自信もないし
当時はスキルも能力も自分でプロですと誇れるほどあったとも思っていなかった。

そんな自分が何かを追うための言い訳。
それが「寄り道」だった。

「寄り道している」
と言えば、誰にも結果を追求されることもないし
自分が苦しい気持ちになる理由は必要はなくなる。

当然、自分が挫折したり負けたしもしないし
目標設定も夢も必要ない。

ただ、自分が興味を持ったもの。
“何か”を見つけた瞬間に動き出す身軽さが手に入る。

そんな自分に都合の良い言い訳が
「寄り道」という言葉を使い始めたきっかけだったと思う。

でも、寄り道を初めてもう少しで一年。

自分でも驚いたのは
寄り道をすればするほど
気付けば大切な人や想いや場所が
本当に自分の周りにたくさん出来ていた。

今の僕は、今まで以上に大切なものに囲まれて生きていると実感できる。
そして事実として大切なものもたくさん増えた。
しかも、今まで大切にしてきたものも大切に想いながら。

そんな文章を書いているこの場所も、
先月新たな生活拠点として住み始めた岡山県だ。

おまけに今日は、お隣さんのお宅にお邪魔させて頂いて
魚の捌き方を教えてもらった。楽しかった。
めちゃくちゃ勉強になったし、何より美味しかった。

これもちゃんとした寄り道だ。

いや、僕にとって寄り道は、もはや寄り道ではない。
寄り道することが目的化している。


僕にとって寄り道は
すればするほど大切な場所や人が増えていく
魔法なようなものだ。

だからこれからも、
寄り道という最強の言い訳を使いつつ
その時、その瞬間
まさに「今」を大切にしながら
一瞬一瞬を大切に生きていきたいと思う。

あなたにとって「寄り道」とは何ですか?
あなたが過去を振り返って
「寄り道」だったと感じることは何ですか?

僕は一つの事を頑張り続けることは出来なかった。
でも、その時、その瞬間に追い求めたいモノさえあれば
頑張り続けられると知れた。

みなさんにとって、この「寄り道」というメディアが
僕以外の方も含めた寄り道についての考え方が
何かの気付きになって、より生きやすくなってくれたら嬉しいな。
そんな願いを込めて、今日も明日も僕は「寄り道」をし続けます。

偶然のつながりを探求する、
寄り道の世界へようこそ。

編集長 テル.浜野

執筆者

テル.浜野 teru.hamano

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